テレビ市場でブラウン管テレビに取って代わったのが液晶テレビです。
薄型テレビに使われる液晶ディスプレイは、いまや大型テレビからパソコン、スマートフォンまで多くの機器に使用されています。現在テレビ全体の約87%は液晶ディスプレイとなり、ノートパソコンでも大きな需要を生み、今では、スマートフォンやタブレットといったデジタル機器が液晶産業を牽引しています。
新興国の経済的な発展により今後も需要がみこまれ、新しいデバイスや電子機器の開発には今後も不可欠な産業分野になります。世界各国との熾烈なシェア争いを行いながら次々と新しい技術開発が行われています。
液晶パネルの部品には、さまざまなものがありますが、重要なのがガラス。
ガラスは割れやすく長距離の輸送は困難なので、液晶パネル製造工場は、ガラス工業の近くに立地していることが多くあります。ガラス工業は、日本では原料産地近くとなる臨海部に多くあるので、結果、液晶パネル製造工場も臨海部に多く立地しています。
臨海部は原料の輸送や製品を市場に運びやすいという点でも立地条件に適しています。関西では、大阪湾沿岸地域に大手メーカの液晶パネル工場が立地しています。
その他、液晶パネルを製造する上で、パネルやカラーフィルターを洗浄する「超純粋」を生産する工場の近くにも多く関連工場が集積されています。
液晶ディスプレイ産業は、日本メーカーの得意分野でしたが、1990年代後半に韓国・台湾が参入し、現在では生産量シェアにおいて大きく水を開けられています。
とはいえ、韓国・台湾製品のコアなパーツや部品などは日本の製品を使っていることが多く、一概に液晶産業で遅れをとっているわけではありません。
液晶技術分野では依然として世界のトップランナーであり、液晶ディスプレイ製造の「先発者」として近い将来登場する高精細、高解像度パネルの研究開発も各国内メーカーがしのぎを削っています。